毎日緊張の新人ナース。今回は忘れもので悩んでいます。
またまた半泣きでSOSのメールを送信してみると…。

メール

差出人
hannaki♡ikyo.jp
件名

忘れものをなくしたいです

宛先
anego♡ikyo.jp
あねご、助けてください!
患者さんを一人で受け持つようになったのですが、
点滴の滴下を合わせるために訪室したら、
そのことしか目に入らなくて患者さんの布団はめくれたままとか、
採血できたことにほっとして戻ってきたら、
駆血帯や針捨てボックスを患者さんのベッドサイドに忘れてしまったとか、
失敗してばかりなんです…。
「初心者は緊張して自分の意識するところしか見ていないから、
すごく視野が狭くなるんだ」って、
運転免許の講習で教官に言われたことがあります。
当時は、頭を素通りした言葉だけど、
看護師になってから実感しています…。

メール

件名

Re:忘れものをなくしたいです

半泣きちゃん、こんにちは。
患者さんを一人で受け持つようになって緊張していることでしょう。
そんなときは、初めて車のハンドルを握ったときのようにすごく視野が狭くなっていて、
普段なら気付けていたことに目がいかないこともあります。
私も、「新人さんのあとをついていると忘れものだらけ。」
なんて患者さんから言われてしまったことがありました。

でも、たかがベッドサイドの忘れもの、とあなどるなかれです。
点滴のルートについている小さなふたをベッドサイドに忘れて、
それが患者さんの体の下にはさまり褥瘡のきっかけになったことや、
処置の後、はさみを忘れて認知症の患者さんが
ドレーンを切ってしまったなんて事例もあります。
だから、部屋を出るときは必ず後ろを振り向くようにしましょう!
これを意識するだけでも、だいぶ変わります。

また、新人の頃は自分のことで精いっぱいですが、
「次の人のことを考えて行動する」ことを意識するだけでもだいぶ変わります。
看護師は勤務交代をして、
次の人(自分以外の誰か)に業務を引き継ぐのが常。
たとえば吸引のチューブ、手袋など
ベッドサイドの物品が最後の数本だったら次のものを用意する、
感染性のゴミ箱があと少しでいっぱいになりそうだったら、
自分が閉じて次の新しい箱を用意する。
そういう小さなことでも日々心がけると、
「この子は気が利くな」と評価がぐぐっとあがりますよ。

立つ鳥あとを濁さずですね。
第2回 振り向きの美学の巻

(テキスト:sakura nurse イラスト:中村まーぶる)