<part2>検査オーダーのミスは減ったけれども……。

電子カルテが普及しだしたのは、ここ10数年かと思いますが。

そうですね、わたしが臨床で働き始めた数十年前は、電子カルテではなく、紙カルテでした。今は、ほとんどの病院が電カルで、検査をする際は、オーダリングシステムを使用しています。

オーダリングシステムが導入されたメリットやデメリットは?

いわゆるオーダーミスは格段に減ったと思いますね。そもそも、紙カルテの時代のオーダーミスは、ヒューマンエラーです。医師が看護師に「●●の検査をお願いします」と言った際の「●●」を看護師が聞き逃した場合だったり、通常だったら、血液検査と尿検査だけなのに、患者さんの症状に合わせて、プラスアルファでエコーも入っていた、というようなことを見逃したり、ということが多かったんです。

起こりやすそうなオーダーミスですね。

電カル時代の今は、単純にオーダーを入れなかった医師が悪い、ということになるので、オーダーミスは減りました。その分、看護師さんとの接点は減ったので、検査技師の立場から言うと、患者さんの情報を得られるチャンスは減りましたね。

どういうことでしょうか? 具体的に教えてください!

一昔前だと、看護師さんが患者さんと一緒にオーダーを持って検査室に来た際に、例えば、「この患者さん、採血要注意です」とか「モニター付けるのを嫌がります」とか、検査の妨げになりそうな情報を、看護師さんがこっそり教えてくれて、共有できていたんですね。電カルの今は、よほどの状況じゃないと、そういった情報は書いてありませんね。

なるほど。他にメリット・デメリットはありますか?

昔の看護師さんは、その検査について、何をやっているのか、どういう意図でやっているのかということを正しく把握していました。しかし今は、オーダリングシステムのおかげで、看護師さんが検査に関わることがほとんどないので、検査内容やその意図について、ちゃんと理解されていない看護師さんも見受けられます。もちろん、こういった看護師さんはごく少数だと思いますが……。

なんとなく、わかる気もします。検査データを読むのが苦手な看護師さん、多いですよね。

昔もそういう看護師さんが全くいなかったわけじゃないんですよ。でも、検査中の患者さんを待っている間に、検査意図や結果の見方を教えたり、検査技師が「今後、▲▲の可能性があるので、注意して観察しておいてください。」というと、看護師さんが「どうしてですか?」なんてやり取りがあったんですね。
オーダーを検査室に持ってきてもらうことが、看護師さんのお役に立っている部分もあったのではないかと思います。

オーダリングシステムがあるために、徐々に検査技師さんと看護師さんが協働する機会が少なくなっているということですね。

そうですね。大規模病院だと、ICT(感染制御チーム)が独立部門になっている病院もあり、そういう病院だと、協働する場面は多くあるのと思いますが……。

逆に、検査技師さんたちもプロですから、看護師が血液検査、CT、MRIなどの検査結果などについてアドバイスをもらうこともできそうですね。

ええ。新人さんの内なら、相談にのってもらえると思いますよ。毎回質問してばかりでは困りますが…笑。
CT、MRIイメージ
(写真はイメージです)