看護学生には看護学生ならではの悩みがあるんです。勉強や実習、国試…考えるだけで不安がいっぱい。
でもなんとかこの状況を脱したい!つまずきがちなテーマを一緒に考えていきましょう。


集中していると周りが見えなくなってしまうんです。

看護学生Wさん

看護学生 Wさん
看護師になりたいという夢をかなえるために実習で奮闘の毎日。

先日、ケリーパッドを使って臥床患者さんの洗髪をしました。頭皮を丁寧に洗おうと思ってごしごし髪を洗っていたのですが、気づけば患者さんの顔にかけていたタオルがずれ、首と顔にお湯がかかってしまっていました。指導者さんに「ちょっと、○○さんの顔がぬれちゃってるわよ」と言われて初めて、はっと気づいて。見ると床にもお湯をこぼしていて、あたりはびちょびちょ。わたしって集中していると周りが見えなくなってしまうんです。そのうえ、どうにも技術がヘタで悩んでいます。

これで解決!

半泣きあらため美咲さん

半泣き あらため 美咲さん
今年3年目を迎える看護師。学生時代を懐かしく思い出しながら、
相談に来る学生にアドバイスを送る。

集中すると視野は狭まる

「焦点化の法則」って聞いたことありますか? 「人間は基本ひとつのことにしか集中できない」ということなのですが、誰にでも思い当たるフシがあると思います。かくいう私も、看護学生・新人の頃よく指導者さんや先生に「周りが見えていない」と言われていました。多かれ少なかれ人は集中する時どうしても視野は狭くなりがちです。まして実習は極度の緊張の中で行っているのだから、仕方がないのかなとは思います。
でも、看護技術を提供する相手は人間。その臨床場面はほぼ一回しか訪れません。看護学生が行う行為であっても医療安全・感染予防の視点が大切です。「学生だから」「緊張するから」仕方ないではすまされません。そういう場合は、予めその手技では、作業の中で何に気を付けるべきか、どういう失敗が生じるかを予測しておくことで、視点を広く持つことができます。

技術がヘタと嘆く前に

技術ベタの学生さんはたくさんいますが、その原因は「緊張?」「経験?」「不器用だから?」どれでしょうか。もちろんどの要因もあると思いますが、近年の学生さんは自分の日常生活であっても「経験不足」ということがあるのかもしれません。

★患者さんのシーツ交換 → 普段、自分のベッドのシーツを敷き変えたことがない!
★清拭用のタオルをしぼる → 普段の生活でふきんやぞうきんなんてしぼったことがない!

ちょっとしたことですが、普段の生活の中で練習することで実習の心構えをしておくと、落ち着くことができると思います。例えば週に1度自分のベッドのシーツを替える習慣を身に着ける。ウェットティッシュばかり使ってないで、たまにはぞうきんを使ってみるなどです。練習(=経験)によりカバーできる部分がたくさんあるんですよ。

学内実習の積み重ねが臨地実習成功の鍵を握っている

自分の日常生活でも練習に加えて大事なのが学内での実習経験です。ある看護学生さんが「臨地実習に来て初めて、学内実習で基本を学ぶ大切さが分かりました!」と言っていました。学内実習における「クローズドベッド演習」「学生同士が交替で行う臥床患者さんのいる状態のシーツ交換」の先に、臨地実習における「点滴ルートのある患者さんのシーツ交換」「術後ドレーンや膀胱留置カテーテルがある患者さんのシーツ交換」があるのだと。一つひとつ段階を踏んで学ぶ大切さがしみじみわかったと納得していました。
急がばまわれです。臨地実習前に、学校の実習でコツコツと経験を積んでいくことが大切です。

根拠がわかればミスは減ります

そして、そして。
耳にたこが出来るくらい先生に言われるあの言葉。
「根拠のある看護技術」
例えば褥瘡予防のための体位変換も、褥瘡ができやすい原因が局所の血流障害ということがきちんと分かっていれば、骨突出がある部位には他の場所よりも圧力がかかり血流障害が起こりやすいことも理解できると思います。そうすれば圧迫を避けるためにどうすればいいかな、と自分の頭で考えることができるようになります。
根拠を考えながら覚えることは遠回りのようで、臨床に出てからも忘れずそして応用出来る思考過程が出来る近道だと思います。

技術がへただから集中してやらないと!!

(テキスト:sakura nurse イラスト:中村まーぶる)