看護学生には看護学生ならではの悩みがあるんです。勉強や実習、国試…考えるだけで不安がいっぱい。
でもなんとかこの状況を脱したい!つまずきがちなテーマを一緒に考えていきましょう。
実習中、患者さんとの関わりについて
看護学生 Hさん
看護師になりたいという夢をかなえるために実習で奮闘の毎日。
これで解決!
半泣き あらため 美咲さん
今年3年目を迎える看護師。学生時代を懐かしく思い出しながら、
相談に来る学生にアドバイスを送る。
でも、Hさんは正しく対応できていますよ!
おさえておきたいのは、実習で学ぶ技術にもレベルがあるということ。以下のレベルは項目別に、厚生労働省発表の「看護師教育の技術項目と卒業時の到達度」で定められています。
「どこまでなら単独で実施できるのか」
「1人でやってはいけない項目はどれなのか」
ということは、実習前のオリエンテーションなどで教わっているはずなので、まずはきちんと理解しておく必要があります。
4段階に分かれる「看護師教育の技術項目と卒業時の到達度」
1)単独で実施できる
2)看護師・教員の指導のもとで実施できる
3)学内演習で実施できる
4)知識としてわかる
私の勤務する病棟でも、看護学生が実習中に1人で行ったことに起因するインシデント(ヒヤリ・ハット)がありました。2つ事例をあげてみますね。
ヒヤリ・ハットその1
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この事例では、フットレストに患者さんの足を乗せることはできましたが、麻痺側だったため、そのまま足がずり落ちて、車椅子に巻き込まれてしまうことも考えられました。
患者さんの身体に影響を与えるおそれのある看護行為は、すべて指導者や教員が付き添うことになっています。看護学生は、患者さんのADLや移動に関して起こりうるリスクを把握しきれていないため、転倒や下肢の巻き込みなどの可能性があるためなんですね。
ヒヤリ・ハットその2
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与薬は看護学生1人で実施できる技術ではありません。そして、落ちていた薬は、なんの薬か、いつ落としたものなのか、結局分からないままになってしまいました。
まずは、落ちていたという時点で衛生的に不安が残ります。そして、本当にその患者さんの薬だったのかも不明のまま。薬の過量投与になる可能性もあり大変危険な行為でした。
この2事例に共通していることがありました。それは、いずれの場合も
「患者さんに頼まれて断れなかった」
ということです。
誰にでも、患者さんに依頼されたことを断るのは心苦しさを感じるものですよね。でも一番に考えるのは患者さんの安全確保。だから、患者さんに対しては、拒否するわけではないということを分かってもらうためにも、
「すみません! ○○さんの安全のために、私1人ではできないんです」
と伝えましょう。そして速やかに、指導者に患者さんの希望していることを伝えることです。
ちゃんと理由を説明すれば、NOと言ってもいいんですよ!
また、頼まれてしまうのと逆に、患者さんにケアを拒否される場合があります。
そんな時、多少なりとも落ち込んでしまったりしますよね?
思い出してほしいのは、看護計画は学生のためではなく、患者さんのためということです。
患者さんの状態の変化でケアをできないのであれば落ち込む必要はありませんよね。
例えば清拭を拒否されてしまったとして、その背景に発熱や倦怠感があるかもしれません。
そんな時は、そこに至るまでの患者さんの身体的・心理的側面をしっかりとアセスメントしましょう。膀胱留置カテーテルが挿入されていて逆行性感染リスクが高い場合には、患者さんに陰部洗浄だけでも実施できるよう説明して了承を得る必要がでてくるわけですから、拒否されて落ち込んでいる暇はありません。
もちろん自分の準備不足や不手際、患者さんの状態をきちんとアセスメントできていないために看護計画を実施できないこともあるかもしれません。失敗体験は人の印象に残りやすいものですが、「失敗は成功のもと」。反省すべきは反省し、次に生かしましょう。
実習中、患者さんとの関わりで悩むことは何度もあると思います。
でも、悩むことも成長の証です。実習を通して、看護をする喜び、難しさ、自己発見をしながらみんな成長していきます。1人で抱え込まず、周囲の人に相談して解決していきましょう。
(テキスト:sakura nurse イラスト:中村まーぶる)